手網、片手鍋、KAKACOOの直火式——いろいろな焙煎を実際に通ってきた上で、いま自分が使っているのが、ダイニチ工業の家庭用コーヒー豆焙煎機 カフェプロ MR-SVF60Bです。
この記事は、メーカー提供でもレンタルでもなく、自腹で買って何度も焙煎した上での率直なレビューです。スペックのコピペや「静かで便利です!」といった当たり障りのない口コミではなく、買う前に本当に知りたい「で、実際どうなの?」を、デメリットも含めて忖度なしで書きます。
そもそも自分が焙煎に手を出したきっかけは、コーヒーミル沼でした。挽き方をあれこれ突き詰めるうちに「いや、焙煎済みの豆をいじっているだけじゃないか」と気づいてしまったのです。コーヒーの味を一番大きく決めるのは、挽き方でもドリップでもなく焙煎。ここに手を出さずにコーヒーは語れない、と。
先に結論|こんな人は買い、こんな人は要らない
細かい話は後でするとして、まず結論から。
買って後悔しないのはこんな人
- コーヒーが好きで、毎日それなりの量を飲む人
- 「生豆で買うと実はとても安い」コーヒーライフに興味がある人
- 同じ豆を浅煎り〜深煎りで焼き分けて、味の違いを楽しみたい人
- とにかく焙煎したての新鮮な豆を飲みたい人
逆に、たぶん要らないのはこんな人
- コーヒーに特にこだわりがなく、市販の粉やドリップバッグで満足している人
- すでに焙煎機を持っている人
- 一度に大量(100g以上)を焼きたい人 ← ここは正直ネックです。後述します
- フレンチローストやイタリアンローストなど極深煎りが好きな人には向かない機種です。
ざっくり言うと「コーヒーが日常で、味の違いがわかる/知りたい人」には刺さります。逆に「飲めれば何でもいい」人にはオーバースペックです。値段もそれなりにしますしね。
ダイニチ カフェプロ MR-SVF60B 基本スペック早見表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発売 | 2025年9月17日 |
| 直販価格 | 39,820円(税込・発売時点) |
| 焙煎方式 | 熱風式 |
| 焙煎容量 | 生豆 60g/回(焼き上がりは約50g) |
| 焙煎レベル | 8段階(L1・L2 / M1・M2・M3 / D1・D2 +エスプレッソモード) |
| 焙煎時間 | 約16〜25分(冷却約10分を含む) |
| 監修 | バリスタ・小野光氏(Brewman Tokyo) |
| 生産 | 日本製(新潟・自社工場で設計〜組立〜検査) |
| 保証 | 本体1年 |
旧型「MR-F60A」(2023年発売)の後継モデルにあたります。熱風式・全自動・日本製という基本路線はそのままに、焙煎レベルが増えて、味の再現性が上がった——という正常進化版という理解でOKです。
正直に言うと|手網・片手鍋・KAKACOOを経て、ここにたどり着いた
このレビューには、たぶん他のサイトとは決定的に違う点があります。それは、自分が焙煎の“修行ルート”を一通り通ってきた人間だということ。MR-SVF60Bは、いきなり全自動から入った一台目ではありません。
具体的には、こんな道のりを通ってきました。
① 手網焙煎・片手鍋焙煎
最初は手網と片手鍋。コンロの直火の上で、ひたすら振り続けるものです。これがまあ、修行でした。ムラは出る、チャフは飛び散る、腕は疲れる。焙煎の原理が体でわかる良さはありますが、毎日続けるには正直きつい。「焙煎とはこういうことか」を知るには最高、でも日常使いには向かない——というのが偽らざる結論でした。
② KAKACOO(直火・電動回転ドラム)
次のステップが、KAKACOOの直火式ロースター。ガラスドラムが電動で回るので、手で振り続ける地獄からは解放されます。最大400gと容量も大きく、ガラス越しに焙煎の進み具合が見えるのも楽しいところ。
ただし、火加減は自分で温度計を見ながらコントロールする半手動の世界です。そして直火なので煙がしっかり出ます。換気扇の下でやるのは必須で、焙煎するぞという「気合い」がいる機械です。腕が試される面白さはありますが、サッと使う、という感じではありません。
③ そして、ダイニチ MR-SVF60B(熱風式・全自動)へ
この遍歴を経てたどり着いたのが、今回の全自動・熱風式です。手網・鍋・KAKACOOで散々「火と煙と腕」と格闘してきた身からすると、ボタンを押すだけで毎回安定して焼けて、煙もほぼ出ないというのは、もう別世界でした。
ここで大事なのは、**「手動の苦労を知らずに全自動を褒めているわけではない」**ということ。直火手動の良さも面倒くささも全部わかった上で、「日常的に・気軽に・安定して」飲むなら全自動が正解だと、経験から言い切れます。逆に「焙煎というプロセスそのものを味わいたい」なら、手網やKAKACOOにしかない楽しさがあるのも事実です。このあたりの使い分けは、後半でもう一度ふれます。
なぜこの焙煎機を選んだのか|決め手は「焼き分け」と「再現性」
家庭用の焙煎機は、調べ始めると意外と選択肢があります。手回しの直火式から、ガス・ポップコーンメーカーを流用する派、中華製の安い全自動機まで。その中で自分がMR-SVF60Bを選んだ理由は、はっきりしていました。
ひとつ目は、8段階の焼き分けができること。
焙煎度は、コーヒーの味を決める最大の変数です。同じ豆でも浅く煎れば酸味とフルーティーさが立ち、深く煎れば苦味とコクが出る。1種類の豆を買って、焙煎度を変えるだけで何種類もの違う顔が引き出せる——これが自家焙煎の一番の醍醐味だと思っています。
2段階しか選べない安価な機種だと、ここの自由度がどうしても物足りません。L1・L2・M1・M2・M3・D1・D2にエスプレッソモードまである8段階なら、自分の好みのドンピシャを探しにいけます。
ふたつ目は、再現性が高そうだと踏んだこと。
「美味しく焼けた」けれど「次また同じように焼けない」では、趣味としてはともかく日常使いにはつらい。MR-SVF60Bは熱風式+センサー制御で、室温や豆の状態に合わせて加熱を自動調整してくれる設計です。ボタンを押せば毎回ほぼ同じように焼けるという安定性は、気軽に毎日飲みたい自分には重要でした。
そしてもうひとつ、地味ですが効いてくる用途が **「生豆の味見」**です。新しい生豆を仕入れたとき、まず60gだけ試し焼きして方向性を見る、といった使い方ができます。少量機であることが、ここでは逆に武器になります。
旧型MR-F60A・他社機との比較|「熱風式・日本製」という安心感
買う前にさんざん旧型や他社機と比べたので、その所感も書いておきます。
旧型 MR-F60A との違い
一番の差は焙煎レベルの数です。旧型より選べる段階が増えていて、特にエスプレッソモードの追加が新型の目玉。前述の「焼き分けて楽しみたい」という自分のニーズには、新型のほうが明確に合っていました。価格は旧型より上がっていますが、増えた自由度を考えれば納得感はあります。
旧型 MR-F60A との違い
| 項目 | 旧型 MR-F60A | 新型 MR-SVF60B |
|---|---|---|
| 発売 | 2023年 | 2025年9月 |
| 直販価格 | 34,760円 | 39,820円 |
| 焙煎レベル | 5段階 | 8段階(+エスプレッソモード) |
| バリスタ監修 | なし | あり(小野 光氏) |
| 浅煎りの仕上がり | 改善の余地あり | ブラッシュアップ済み |
| 焙煎方式 | 熱風式 | 熱風式(共通) |
| 焙煎容量 | 生豆60g | 生豆60g(共通) |
| 生産 | 日本製 | 日本製(共通) |
他社機(特に中華製)との違い
ここは正直に言うと、自分は「メイドイン新潟」を重く見ました。
焙煎とは、要するに200℃超の熱を扱う家電です。先ほどのライソンの発火リコールの話ではありませんが、安全性と耐久性は値段で妥協してはいけない部分。中華製の安い機種にも性能的に悪くないものはあるのでしょうが、「よくわからない中華製」よりも、設計から組立・アフターサービスまで国内で完結している日本製のほうが、長く安心して使えると判断しました。
なお、自分が使ってきたKAKACOOのような直火・大容量(400g)のロースターとは、そもそも目指す方向が違います。KAKACOOは「煙と火加減と格闘しながら、一度にたくさん、力強く焼く」機械。MR-SVF60Bは「煙を出さず、火を使わず、少量を毎回同じように焼く」機械。大量に焼きたいか/手軽に安定して焼きたいかで、選ぶべきものが分かれます。MR-SVF60Bは完全に後者に振り切った設計、という理解が正確です。(KAKACOOは多くて300gぐらいが良いと思います、400だと豆が膨張してあふれそうになるので)
もうひとつ地味に効いているのが熱風式であること。家庭用焙煎機は意外と直火・半熱風が多く、純粋な熱風式はそれほど選択肢がありません。熱風式は熱風で豆を撹拌しながら焼くのでムラが少なく安定するのが強みで、ここもMR-SVF60Bを選んだ理由のひとつです。ダイニチは石油ファンヒーターや加湿器で「空気を制御する」のが本業の会社。熱風のコントロールに関しては得意なはず、という信頼感がありました。
開封・設置|サイズは「小さい炊飯器より小さい」、置き場所だけ注意
実物が届いてまず思ったのは、「思ったよりコンパクトだな」でした。
体感で言うと、小さめの炊飯器より小さいくらい。キッチンのカウンターや棚にも無理なく収まるサイズ感で、設置のハードルは低いです。重さも軽いので、出し入れも楽でした。

焙煎する時はこんな感じで、換気扇の下で焙煎しています。
高さは28センチあります。

付属品のチャフを取る刷毛と豆を計量するカップです。

チャフトレイとガラス窓がついた上ぶたです。(ちなみに使い終わったら、中性洗剤で軽く水洗いしても大丈夫です)
ただし設置場所には1点だけ注意があります。取扱説明書では本体の前後左右に30cm以上、上部に100cm以上のスペースを空けるよう指定されています。上方向に意外とクリアランスが要るのですね。
そこで自分のおすすめは、焙煎時はキッチンの換気扇の下でやることです。理由は次の「使ってみた」で書きますが、煙はほとんど出ないとはいえ、焙煎香はそれなりに立つので、換気扇の下が結果的に一番快適でした。普段は棚にしまっておいて、焙煎するときだけ換気扇の下に出す、という運用に落ち着いています。
実際に焙煎してみた|操作は拍子抜けするほど簡単
ここからが本題。実際に何度も焼いてみた、リアルな使用感です。
私の場合は生豆を下のように計量して、欠点豆をとりのぞいてます。(虫食い、欠け豆、変色した豆など)
欠点豆があると、味に良くない影響がでるので取り除いています。


わかりずらいかもしれませんが、上の写真の左側が欠点豆です、右は正常なコーヒー豆です。
欠点豆を取り除いたら、焙煎機の釜に投入します。


上の写真は焙煎が終了して、上のふたを取った状態です、
コーヒー豆の薄皮(チャフ)が綺麗に分別されているのがわかると思います。(よくできている!)

焙煎すると、焙煎度合いにもよりますがおよそ20%重量が減ります。
写真だと、中煎ぐらいに見えますが肉眼でみるともう少しダークです。(2番目の深煎り設定)

上の写真はカフェプロ MR-SVF60B焙煎したものです。
左が一番浅い設定の浅煎りです、右が今回の深煎り。
豆にもよると思いますが、浅煎りでも嫌な酸味がなくて、フルーティな紅茶みたいになります。砂糖をいれるとジュースみたいになりますよ。(面白い!)
操作は本当に簡単。ボタンを押すだけ
正直、拍子抜けするくらい簡単でした。
- 付属の計量カップすりきり1杯(=生豆60g)を計って釜に入れる
- チャフコンテナと上フタをセットする
- 電源を入れて、焙煎レベルを選んで、スタートを押す
これだけです。あとは全自動で、加熱から冷却まで勝手にやってくれます。焙煎の技術や経験がいらないのが全自動機の最大の強みで、初心者が最初の一台に選んでも失敗しにくいと思います。

操作も簡単です。
焙煎度合いを選んで、生豆を投入してスイッチを押すだけです。
ハゼ〜冷却完了まで約20分
スタートしてしばらくすると、「パチパチ」とハゼ(豆が爆ぜる音)が始まります。この音を聞きながら「今どのあたりの焙煎度かな」と想像するのが、地味に楽しい時間です。
ハゼから冷却完了まで、だいたい20分前後で1バッチ完成します。焙煎が終わると自動で送風冷却に切り替わるので、うちわで扇いだり別の容器に移して冷ましたりする手間がいりません。ここも全自動のありがたいところです。
焙煎香は最高。煙はほとんど出ない
焙煎中に漂う香りは文句なしにいいです。自家焙煎の特権というか、これだけで気分が上がります。コーヒーショップの焙煎の前を通りかかったときのあの香り、それが自宅で出せます。
そして煙はほとんど出ません。これは賃貸やマンションでも焙煎したい人にとって、かなり大きいポイントです。ダイニチは空気の制御が本業なだけあって、煙と匂いを分散させる設計がしっかりしている印象です。とはいえ香り自体はそれなりに立つので、やはり換気扇の下推奨ではあります。
チャフは綺麗に分別してくれる
焙煎するとチャフ(豆の薄皮)が大量に出ますが、これを綺麗にコンテナで分別してくれるので、周りに飛び散る心配がありません。後片付けがとても楽です。手回しやフライパン焙煎の「チャフが飛び散って掃除地獄」といったストレスは皆無でした。
焙煎レベルは「浅煎り寄り」が充実している印象
8段階を一通り試した体感としては、やや浅煎り寄りのバリエーションが充実している印象です。浅〜中煎りでフルーティーさや酸味を楽しみたい派には、刻みが細かくてありがたい。逆に本格的な極深煎り(フレンチ・イタリアン級)を狙う人は、後述の「イマイチな点」も読んでおいてください。
具体例をひとつ。よく焼くパプアニューギニア コルブラン農園のウォッシュ(グレードA)は、浅煎りにするとフルーティーな酸がきれいに立ちます。そして面白いのがこの豆、深煎りに振っても美味しい。同じ生豆を浅と深で焼き分けて、まるで別のコーヒーのように表情が変わるのを楽しめる——これが8段階機のいちばんの醍醐味だと思います。2段階しか選べない安価な機種では、まず味わえないところです。
焼いた豆を、どう挽いて淹れたか|ここが自家焙煎の本当の楽しみ
焙煎機のレビューは、たいてい「焼けました、美味しかったです」で終わってしまいます。でもコーヒーは焙煎→挽く→淹れるで一杯になるもの。せっかく自分で焼いた豆を、どう挽いて飲んだかまで書かないと片手落ちだと思っています。
焼きたての豆をコマンダンテをはじめ、手持ちのいろいろなミルで挽いてみたり、
ドリップ、エアロプレス、などなど飲み比べてたり色々やりましたが
カフェプロ MR-SVF60Bは、比較的にクリアで明るい味わいになる焙煎機だと思います。
とくに、浅煎りのコーヒーが得意分野だと感じました。


焙煎して日の浅い豆は、挽いた瞬間の香りからして違います。淹れたときの炭酸ガスの抜け(膨らみ)**も、新鮮な深煎り豆ほどよく膨らみます。浅煎りのコーヒー豆はそれほど膨らみませんが
市販の豆では味わえない「鮮度そのものの美味しさ」を毎日飲めるのは、本当に贅沢です。
焙煎してから深煎りだと2〜3日、浅煎りだと一週間ぐらいすると味が落ち着いて雑味がすくなくなります。
そして何より、自宅がミニ焙煎所になるこの満足感。生豆のストックがあって、飲みたい分だけその場で焼いて挽いて淹れる——コーヒー好きとしては、これ以上ない環境が手に入ります。値段はちょっと高いかな、と思う瞬間もありましたが、この体験の前では正直どうでもよくなりました。
カフェプロ MR-SVF60Bは、比較的にクリアで明るい味わいになる焙煎機だと思います。
とくに、浅煎りのコーヒーが得意分野だと感じました。
生豆はどこで買う?|「200gから・多品種」が少量機と相性抜群
焙煎機を買って最初にぶつかる疑問が、「で、生豆ってどこで買えばいいの?」だと思います。
自分がずっと使っているのは、海の向こうコーヒーさんという生豆の問屋です。ここを選んでいる理由は、問屋さんなのに個人でも購入しやすい200gからと小分けしてくれていて購入しやすいし、生豆の質も良く美味しいコーヒーを色々試しやすいところです。(送料は750円かかります)
① 200gから買える
これが地味に最重要です。カフェプロMR-SVF60Bは1回60gの少量機です。問屋によっては「1kgから」というところも多く、初心者は「飲みきれるか不安」で手が止まります。でも200g単位で買えるなら、焼ききれる量で、いろいろな豆を気軽に試せます。60g機の「少量を多品種で楽しむ」という思想と、ぴたりと噛み合います。容量60gという弱点が、ここでは逆に「少量多品種にちょうどいい」に化けるわけです。
② 種類が豊富で、新しい豆も次々入る
8段階で焼き分けられる楽しさ × 豊富な生豆 = 組み合わせは無限です。「同じ豆を焼き分ける」だけでなく「いろいろな産地・精製を試す」方向にも遊べます。新着の豆が定期的に入るので、飽きずに通えるのも◎。
③ 個人でも気軽に買える良心的な問屋
プロ向けの敷居の高さがなく、個人の趣味焙煎にもちゃんと開かれています。価格も良心的で、初めての一袋から安心して頼めます。
実際にリピートしているおすすめ生豆
参考までに、自分が気に入ってよく頼む豆を2つ。
- パプアニューギニア コルブラン農園 ウォッシュ(グレードA):先ほど焼き分けの例で出したものです。浅煎りでフルーティー、深煎りでもしっかり美味しい。一袋で二度おいしい、焼き分けの練習にも最適な万能豆です。
- ペルー チリノス組合 ゲイシャ ウォッシュ(G1):あの高級品種ゲイシャが、お手頃価格で試せるのが衝撃でした。ゲイシャ特有の華やかな香りを自家焙煎で味わえる贅沢。「ゲイシャは高いんでしょ?」と敬遠していた人こそ、一度試してほしい一杯です。
登録とかめんどくさいなー、という方はアマゾンで手軽に生豆が購入できます。
正直イマイチだった点|ここは知っておいてほしい
ベタ褒めだけのレビューは信用できないので、不満点もちゃんと書きます。
① 1回の焙煎量が60g(上がり約50g)と少ない
これが最大のネックです。生豆60gを焼くと、水分が抜けて焼き上がりは約50g。1日に何杯も飲む人や、家族の分も焙煎したい人には、正直100gくらいは欲しかったというのが本音です。連続焙煎はできるので回数でカバーはできますが、「一度にまとめて」派には物足りないはず。少量を新鮮に、という思想の機械だと割り切れるかどうか。実際、KAKACOOでは一度に400g焼けていたので、容量だけ見ればダウングレードです。ただそのぶん、KAKACOOで毎回つきまとった「煙」「火加減」「冷却の手間」から完全に解放されました——このトレードオフをどう取るか、という話になります。
② 音は結構する
「静音」とよく言われますが、自分の体感だと音は結構します。深夜にマンションで気兼ねなく、というレベルかと言われると、人によっては気になると思います。煙が出ないぶん油断しますが、音はそれなりに存在感があります。ここは過度に期待しないほうがいいです。(大体少し静かな掃除機的な音です。)
③ 釜の黒ずみは取れない(が、実用上は問題なし)
使い込むと中の釜(焙煎窯)が黒ずんできて、これは掃除しても完全には取れません。ただし味にも性能にも影響はないので、見た目を気にしないなら実用上まったく問題なし。「使い込んだ証」くらいに思っておけばOKです。

中の釜ですが、黒ずんできます。
④ 価格はやや高め
直販で約4万円。安価な家庭用機が1〜2万円台であることを考えると、ちょっと高いかなと感じる人はいると思います。ただ「8段階の焼き分け」「熱風式の安定性」「日本製の安心感」に値段ぶんの価値を見いだせるかどうか、という話です。
どんな人におすすめか|「本当に美味しいコーヒーを知っている人」へ
ここまで読んでくださった人なら、もう自分に合うかどうか見えてきていると思います。改めて整理します。
おすすめできる人
何といっても、焙煎したての新鮮なコーヒーを飲みたい人です。そしてこの層の人は、たいてい焙煎度をいろいろ試してみたいと思っていますし、本当に美味しいコーヒーがどういうものか知っている人が多い。そういう人にとって、8段階の焼き分けと毎回安定して焼ける再現性は、ドンピシャでハマります。生豆で買えばランニングコストもぐっと下がるので、毎日飲む人ほど元も取りやすいです。
おすすめしない人
コーヒーにそんなにこだわりがない人。市販の粉やドリップバッグで十分満足しているなら、わざわざ焙煎まで手を出す必要はありません。あとは当然ですが、すでに焙煎機を持っている人。今の機械に大きな不満がないなら、買い替えるほどの差があるかは微妙です。
そしてもうひとつ、一度にまとまった量(数百g単位)を焼きたい人。こういう人は、自分も使ってきたKAKACOOのような直火・大容量タイプのほうが向いています。煙と火加減の手間を引き受けてでも量を取る、という選択です。MR-SVF60Bは「少量を、手軽に、煙なしで、毎回安定して」が身上なので、求めるものが容量なら方向違いになります。
まとめ|「悩んでいるなら、コーヒー好きなら、買い」
ダイニチ カフェプロ MR-SVF60Bを、自腹で買って何度も焼いた率直な結論は——
コーヒーが好きで、味の違いがわかる/知りたい人なら、買って損はない一台です。
60gの容量制限と、それなりにする音という弱点はあります。でも、ボタンひとつで毎回安定して8段階に焼き分けられて、煙はほぼ出ず、チャフの掃除も楽。そして何より、自宅がミニ焙煎所になるあの満足感。生豆という、安くて選択肢の広い世界への入り口でもあります。


※本記事の価格・仕様は執筆時点の情報です。最新の価格・仕様は各販売ページでご確認ください。

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